冬の香港名物とは?イエス蛇!
香港にて、北京より南下してきた顔も心も中国人化しているウメと合流。彼は我々と旅行していると、「日本人カップルを引き連れている大陸の人」と思われることが多い。東北地方出身。いや、華北ではなくね。東北です。岩手とかの。
ここで、香港の頼れる友人、豪さん再度の登場です。去年の来港時も会う予定だったのだが、絶妙なタイミングでお断りの電話をしてきてくれたので、今回3年ぶりの再会となる。ばかでかいジャッキーの看板をかかげている、スポーツクラブの前での待ち合わせを提案される。そんなところまで気の利く、よい人なのである。
「なんかインドネシア語みたいなアナウンスが流れたよ~」
どうやらわたしの携帯は、いまだにリゾート気分の様子。しかし無事会えてよかった。今回むかうのは、ずっと行こうと思いつつなまけていた、元朗(ユンロン)という郊外の街。香港冬の風物詩、「蛇」料理を食べに、いざ出陣である。
目指せ!上島竜平なみのリアクション~蛇編~
注文する豪さん香港の中心地から元朗へは、九広西鉄で向かうのだが、いかんせん駅ががらんとしている。先行きは長くはないであろうというのが香港人の見解だ。
さて、元朗の駅を出ると、さながら西武新宿線ひばりが丘のようだ。地元の人のためにある街という感じで、探検しがいがある。わくわく全開。
まずは季節ものということで「老婆餅」の名店につれてってもらう。ここらの名物でもあるらしく、中国風のお菓子屋が大通りにずらずら軒を並べている。老婆餅とは、なんだか長年の苦労がにじみ出ているような、ぜんぜんおいしくなさそうなネーミングだが、広東語で「老婆」とは「奥さん」、「餅」は「ケーキ、お菓子」という意味。もすこしヤングに「奥さんの手作りパイ」が適当なイメージの、むにむにしたあんこが入ったパイである。ひとまず小さいのを買ってみた。宿に持って帰ってみたら、パイの皮はほぼないくらいにボロボロだったが、餅inパイの新食感が斬新だった(はまるほどではない)。
あざやかな赤いお菓子屋が途切れると、ふと入りがたい名前の食堂があらわれる。
「蛇王如蛇店」
夥しい数の…蛇王の如く蛇…。蛇王という言葉にピンとこないが、とにかく蛇のすごい人なのだ。そう。これが今日の最大の目的地、蛇屋さんである。店の中には、たくさんの蛇ちゃんが瓶に詰められているが、香港の人はこれを見て食欲をかき立てられるとでもいうのだろうか?わたしはちいさいころに体験済みなので、とりたてて気にするものでもない。しかしトドマンは蛇自体が嫌いだ。まあ何とかなるだろう。この店は、蛇蛇しているわけでもなく、同じく冬にみんなが食べる、ボーチャイ飯もたくさん置いている。平たく言うと釜飯みたいなもので、排骨(豚のスペアリブ)や腸詰なんかを土鍋にいれて、香港醤油をかけて焚いたご飯。おこげ超うまい。蛇スープと(無難な)ボーチャイ飯とかをそれぞれ適当にたのむこととした。
一見無難だがトドマンが静岡出身というと、豪さんは静岡は香港でもちょっと知られている場所だという。そんな地味なところがなぜ?と不思議がると、大空翼君の影響とのこと。日本文化の伝道師としても活躍されているようである。
さて、運ばれてきた蛇スープは案外普通の透き通ったスープである。ちょっと拍子抜けだが、すすってみると、独特な風味‥。蛇の煮込みのようなものは、とろみのおかげでずっとマグマ状態。これは以前に食べたことがあるが、濃い味が案外はまりそう。「日本にはない変わった味」ということで片付けてもよし、「蛇、蛇、蛇」と自分を追い立てながら楽しむもよし、日本じゃ中華街でもあんまないだろうから、せっかく来たんだからと腹をくくって試してみなさい。
いまさら「香港スイーツ」を試してみる
世話になりたくはないが釜飯は思った以上に手強かった…。
さて、食後には地元で大人気の香港スイーツの名店へ。ちびろっくもトドマンも、見た目のわりには甘いものを食べないので、ぜんぜん別腹とかは搭載されていないが、せっかくなので吐く勢いで食べてやろうと思う。
蛇屋を出て、しばし歩くと屋台街のような一角に出くわす。香港は案外屋台への風当たりが厳しいので、中心地では見かけないのだ。思わずいつもどおり席について、「隣の人が食ってるやつ持ってきて!」とか威勢のいいことも言いたくなるが、そんなにでっかい胃は持ち合わせていない。気になりつつも、また次回とする。
香港ではしばしば「押」と書かれた赤い看板を目にするが、豪さんによるとあれは質屋だそうだ。さーすが香港。場所によっては日本のクリーニング屋(1軒/500m)の勢いでしばしば見かける。
ぜひともお邪魔したいところだが、豪さんはどっからどう見ても堅実派であり、質に出入りするような人ではない。知らない方がいいこともある、ということで外からじろじろ眺めるだけにする。
多!ここら周辺の土地の相場の話になり、案外買えるのでは?などと夢物語を語っていると、薄暗い町並みの中に1軒、若々しい活気がみなぎる店が見えてきた。おセレブの面々が高級外車で乗りつけるほどの有名店、とは想像もできないポップさだが、確かに年齢性別関係なしの客たちでにぎわっている。有名人のサインだらけ。
パンケーキ、タピオカ、プリン…それぞれのカテゴリで種類がものすごい多いが、ところてんが有名だというので、メロンのところてんを頼んでみよう。他の3人はタピオカと、きくらげみたいなものと、マンゴープリンを注文してみる。
なんなんですかこの惜しみないメロンの量。
ギャグですか?こんだけ出してHK$17(260円くらい)?日本はいくら金持ちの国っていってもね、余裕のある南国にはかなわないもんですよ。メロンやマンゴーをちやほやしているようじゃ…。ひねた事を言ってないで早く食べなさい?す、すみません…。ところてんと言われるものは、想像したこんにゃくみたいのとちがって、一見したところ亀ゼリー。真っ黒。これは薬草のゼリーで、身体にいいんだって。もう大人だけど、あんまり変わったもの好きじゃないから、今まで東南アジアのおかしは全然食べなかったんだけども…。
この夜で、ちびろっくとトドマンの、デザート感が360度変わりました。いや、素で間違えたけど戻ってるじゃん。180度でした。とにかく、この日以来トドマンはマンゴーにハマり、ちびろっくは草ゼリーにハマり、日本でも常に缶詰を常備するまでとなり、香港に行く目的がまたひとつ、増えてしまいました。
何で今まで食わなかったんだろう。いや、気づくのが遅くてよかったのかもしれない。だって、香港行くたびに5キロくらい太って帰ってくることになりそうだから。
ああ、豪さんありがとう。いつもおごってくれようとするが、こんだけ香港の良さを教えてくれて、こっちがガイド料払いたいくらいだ。こういういい所に連れてってくれながら、「なんで香港飽きないの?」なんて…。罪な男だこと!ということでデザート代はこちら持ち。日本に来たら、桃太郎寿司あたり連れてって好きなだけ食べてもらいたいと願う。我々の住む高円寺では、高級レストランだ。
そして我々は、あえて2階建てバスで帰宅。雨の香港の景色をたのしみたかったのだ。
メニュー読解できないが、確実に好きなもの食べたいというかたのために、一般的な果物の日本語訳をお披露目します。
・蜜瓜→メロン
・西瓜→すいか
・香蕉→バナナ
・芒果→マンゴー
・士多碑梨→いちご
・波羅(みたいな字)→パイナップル
・雪樵(みたいな字)→アイスクリーム
・奇異果→キウイ
・金果→たぶん桃
・紅毛丹→ランブータン
・哈蜜瓜→ハミウリ(ウイグル自治区あたりのメロン)
でも、テキトーに試してみるのも楽しいぜ!