紺碧の海に浮かぶ要塞へ …行けるのか!
ポルトガルの旅行パンフで見かけたまっ透明の海に意味深に浮かぶ要塞。
なんですかこの現実離れした風景は!と驚愕。いつか機会があったら…と思ってたらもう機会がきたので、もちろん向かうことにする。だがシーズンまで1、2週間足らない、微妙な時期なのであった。
ベルレンガスの観光案内ページ
ほとんど賭け!ベルレンガス島へ
ペニシェ行きガラガラロンプラとか英語ガイドブックは読むのがめんどくせえが、日本語の個人旅行ガイド、「地球の歩き方」には、ベルレンガスのベの字の記載もないのだ。あんなのが個人旅行者のバイブル気取りなんだからたまったもんじゃない。ペニシェという港町からベルレンガス島への船が出ているらしい。雲行きも怪しいが、ここまで来たのだから、とりあえずそこまで行ってみることにした。
ロンプラの記載が違い、バスターミナル発見までにしばし迷い、通りすがりのおじちゃんの助けを借りてどうにか到着。Rede expressosのバスチケットは€7.3。ちょっと値上げしてた。バスにしても地下鉄にしてもそうだが、ポルトガルは全体的に地味なのだがトランスフォーム系は充実している。駅舎や乗り物は新しくてきれいで、デザインがよい。近年突然発展を遂げたかのよう。
で、のどかな田園地帯をしばし行き、宮崎駿アニメの舞台のように幻想的なベルレンガス諸島への玄関口、ペニシェに降り立つ!
そして途方に暮れる!
なんだこの体感気温すら低く感じるほどのうら寂しさは!
しかしここはまだパラダイスの入り口だ。とりあえず「」の看板に従い、自転車が打ち捨てられてほっとかれているようなうら寂しい川を越えて、誰も歩いてないうら寂しい道をゆく。
いちお観光地ぽく結局はどこにあるのかわからなかったが、街っぽいところには出た。
そして小さな旅行会社を発見したので、びくびくしながら入ってみる。ベルレンガスへの船は、出る、のか。
カウンターに座る親切そうな男女に、ベルレンガスアイランドに行きたいのだけど…と告げる。するとなんとも残念そうな顔で、
「天気がこれだから…今日は…」
そうなんですか…。時期というか、天気がアレだからですか…。
一応船着き場だかなんだかに連絡はしてくれたのだが、「今日やっぱ出ないよねえ」というニュアンスで話をしめくくり、申し訳なそうに首をふる…。わかりました、エニウェイ、ありがとう…。ベルレンガス…。一体次はいつ来れるのか…。
さて。
夢も希望もついえたところで、とりあえずお昼ご飯です。
セルフ式のカフェテリアでサンドイッチと、飲めないのにコーヒーを注文。かわいい店員さんに何か聞かれて、はい、はい、と適当にうなずいた結果、これ以上にない濃さのコーヒーが出てきた。いいのだ。ミルクが入ると高くなるから(※注)、これで、いいのだ、って苦!!
適当に注文したチキンサンドイッチはおいしく、トドマンが注文したサンドイッチはポテチの砕いたのみたいなのがたくさん入ってて斬新だった。そしてコーチェラ最終日に続き、また誤って男トイレに入ったが、気付いたのは出てからトドマンにトイレ内で撮った小便器の写真を見せてからだった。
「小便器は男トイレにしかないだろう、普通」
まことにごもっともである。
可哀想しょうがないので帰りのバスのチケットを買いにバスターミナルまで戻ると、あと1時間ちょい時間があった。どうしようもなく何もすることがない街なので、絵はがきを買って、手紙を書いた。ベルレンガス島の絵はがき。行ってもないベルレンガス島の。はがきを出すには切手が必要だ。と、すぐそこに切手の自動販売機がある。
なけなしの2ユーロ投入。
ボタン押下。
静寂。
お母さん!!お母さーーん!!!
きっても、おかねも、でてこないよ!!
たたくも、わめくも、この赤いバカはうんともすんとも、言いやしない。
しょげて、大都会リスボンで出すことにした。
うすら寒い街を時間つぶしに歩いていたら、端っこの方に観光地ぽいところを見つけた。
「Museo」とあるので、博物館だか何だかがある砦のような建物。水がきれいなのでとりあえず降りてみる。きれいだ。そりゃそうだ。あの紺碧の海につながってんだから。ベルレンガスはすぐそこなんだから。泳いでいけないかなあ。ベルレンガス。あまりにこの街が暇なもので、むやみにうじうじする。くそ。
そして上へ上がってみる。
すると、そこには、大きな大きな海が広がっていた。
しばしたたずみ、ここを越えればアメリカか…。としみじみ。いやいやもう行きたくねえ。
ユーラシア大陸のはしっこ。この大陸の逆っかしに、我が故郷日本があるのだ。陸づたいに行ったら一体何本国境越えることになるのだ。何カ所で賄賂をせびられるのだ。何回膀胱炎になった方がマシなくらいの悲惨なトイレにおびえるのか。
なんだか気が遠くなる話だ。
大きな海をみて、大きな気分になったら、ふっきれた。
そしてバスに乗ってリスボンへ帰ってきた。
バスが着いたところは、ユーロ2004が開催されたスタジアム、ジョゼ・アルバラーデ Jose Alvaladeの真ん前。さすがかっこいいす。リスボンの街に全く合わずかっこいいす。なんかこの街は、古いもの新しいものが極端に混在している不思議な街す。
そして何だか、のどが、痛くて、歩くの が 辛くなってきた…。
※ミルクが入ると高くなるから、という理由でこの旅行中エスプレッソを飲み続け、のちにコーヒーが大好きになる。不思議なもんである。