Live! Tonight! Sold out!
Coachellaって、そういや音楽フェスですよ。忘れてた。
ということで、心に残ったあいつやこいつらについて。
Bjorkの歌におくられて
初日はBjorkのことしか頭にない。
ショウがすばらしかったかどうかもよくわからない。だって、旅開始から2日目、しょっぱなから死体をみた。死体になろうとしていたところだったかもしれない。
Bjorkの登場をいまかいまかと待つ人でぎゅうぎゅうしているところを、泣きだしそうな表情で乱暴に突破してった若い女。なんだよ、あいつ、なんてちょっとイラっとしていたら、少しするとちっちゃいジャネットジャクソンみたいなセキュリティが無線片手にやってきて、我々の左ななめ後方へ向かってった。近くにいた男性に肩車され、「ここよ!ここ!」と誰かに合図する。そちらに目をやると、横たわってる人間の長い白い足が見えた。周りがわくわくしながら全員立ってるから、その生気のない足がよけいに異様に見える。Bjorkがちょこちょこっと出てきて、歓声につつまれる。ぶっちゃけBjorkはよくわからんのだけど、ドンドコいう曲で周囲のテンションはあがりまくり。でもその足はまだ動かない。何人かの関係者に抱えられて、その大柄の女が運ばれていった。ものすごい酒臭くて、顔はもう死んでるみたいに真っ白で動かなかった。実際死んでたかどうかはわからないけど、少なくともだいぶ崖っぷちではあった。
隣の女の人が、(映画調に訳すと)「なんてことなの!」とか言ってたので、死んでたのかな、と言うと「わからない、わからない…」と混乱してる様子。自分には全く関係ない人だけど、爆弾とか凶器じゃなくたって人間のいのちって簡単に消えるんだな、とか、週末遊びに出かけた娘が、変わり果てた姿で戻ってきたときの家族の心境を想像したら、なにやらだんだんダークな方へ…。こ、これは俗に言うインドショックか?(言わないか?)Bjorkの歌ももう、彼女のたましいを送る歌にしか聞こえません…。
と、いうわけでもやもやした1日目、どっと疲れたので早々に退散。こっちがすやすやしかけると、トリを見終わった連中が興奮冷めやらぬ様子で奇声をあげはじめた。こっちであがれば、あっちで答える。しまいにはテントサイトの端から端まで、奇声のウェーブがおこる。君らサバンナの猛獣か。耳栓持ってきて正解。グッナイ!
凄い人たち
アンソニーにヒゲが2006年、フジロックで初めて、念願のレッチリをみることができた。けど、彼らは仕事はきっちりこなしていたが、あくまでも「仕事としてやっている」という印象だった。アンソニーの体調が悪かったとかで、それも理由だったと思うんだが、なんだろう、ライブのテンション低かったなー。
今回、さすがに本拠地だから本腰入れるだろう、と思っていたが、あのフジロックのときと何ら変わりがなかった。観客側も、新しいめの曲への反応がだいぶ薄く、盛り上がるのは初期〜中期の名曲ばかり。まあ、楽しかったが、途中でちょっと飽きた。
オールバイマイセルフKid Beyond、マイク・ベルナルドみたいなこいつは凄い!いわゆるボイパの人だが、ボイパの枠から突出している、サウンドマシーンそのもの。マイクチェックの段階で観客大盛り上がりです。イラク戦争について運動を起こしていた女性に「I'm Alive」という曲をささげた。歌もうまい。機械いらずの超人…。なんて自立した男なんだ。
アイルランド在住のおふたりロドリゴとカブリエラのお2人。一言で言うならば、超早弾きフラメンコ。ポールギルバートも高橋名人も真っ青の超絶テク。もともとスラッシュメタルバンドやってたっつーのも納得です。ガブリエラは弾くその手をギターに打ち付け、同時にパーカッションもやってのける器用な女。
そしてちょっとエロい!
最高!
おっと、こんばんは。コーネリアス。かわいい登場で人気者。日本じゃ大人気だが、アメリカではバンド名誤植される程度。
The Rootsの楽器のうまさにシビれたり、Lily Allenは歌が上手ということを知ったり、OzomaltiとかPeeping Tomとか、初体験もたくさんできて、フェスってほんと、オトクよねえ〜、来年も来たくなっちゃうわよね〜なんて、井戸端会議のひとつも始まりそうに満足です。ただ、暑い。
Rage Against The Machine
最終日、4月29日は空気がちがった。なんかフツフツしている。
言葉がわからないからか、ゴミとか掃除の係は中南米ぽい人たちが任されているが、今日はオーディエンスとして来ているそこらへんの人たちが多くみられる。日本人みたいに皆同じバンドTシャツを着る人は昨日までほとんどいなかったのに、今日はたくさんいた。メインステージでは朝から屈強な男どもが待機し、かわいそうにMIKAなどか弱くて罪のないバンドが罵声を浴びせられることとなった。もうほんとフツフツしているのだ。フツフツ。ロドリゴが「Bombtrack」のフレーズをちょろっと弾いた瞬間、聴衆が色めきだった。今日という日をずっと待ち続けた、世界中からやってきた人々の想いが、ちょっとしたことで爆発しそうで、夜までずっと、ある種の緊張感みたいなものが漂っていた。
まさしく、今日は、歴史に残る1日となる。
冷静に見つめるメキシコ系の男達 夜。かわいいギャルも、大柄な男も、黒い人も白い人も茶色い人も黄色い人もどいつもこいつもメインステージの前に集合。
←はトリ1つ前のManu Chao。初めて聞く人だが、メキシコ人にはたいそう人気があり、すぐ後ろの女子たちはレイジのTシャツを着ながらも力の限り彼の名前をキーキー叫びつづけていた。
見た目は志茂田景樹。突然テンションあがる、特徴あるラテンの音。
近くにいた若者が、「手加減してくれよ」みたいなことを言う。
いやいや。こっちのせりふですがな。
あと少し。
あと少し。
あと少し。
復活そのときはついにやってきた。本当にやってきた。7年待ち続けたそのときがやってきた。本当にやってきた。そしてその瞬間、わたしは突き飛ばされた。いてえ。誰だ。トドマンだ。ついさっき、「危ないから側にいなさい」と言ったトドマンだ。そばにいた眼鏡君に助けられる。ありがとう。どんだけぐちゃぐちゃになるかと恐かったけど、周囲の欧米のひとは見た目によらずジェントルで、動きは激しくとも女性に気をつかってくれる。ほほう、民族性はこんな歴史的瞬間にもかいま見られるもんだ。と、冷静になってる場合じゃない!!
!!本物のRage Against The Machineだ!!
巨漢1人が2人、3人…ボキャブラリーに乏しいので、ライブレポートは他の人におまかせします。わかりません。音楽のことよく知りません。
でも、明らかなことは、4人が4人、あのころと変わらず、完璧な レ イ ジ としてステージに、目の前のステージで跳ねている。二度と見れないと思っていたステージ。ちびろっくの夢は、ここアメリカにてついに成就した。
しかし、今日1日あんなにピリピリしてて、レイジが出てきたらどんだけ爆発するんだ?とヒヤヒヤだったってのに、意外や意外、みんなうれしくてしょうがないという様子で、ハグしたり、ハイタッチしたり、巨漢がジャンプすれば巨漢が1人加わり、じゃオレもともう1人巨漢が加わり、笑いがおこり…ああなんて楽しいライブ!愉快で幸せなライブ!
いろんな人が1つのバンドを待っていたよ白も黒も黄色も、もう赤も緑も群青色も!みんな今こうして一緒に楽しんでいる。よけいなことはゴチャゴチャ考えず楽しんでいる。名前も出身地も知らないが、誰かが倒れればみんなが助ける。誰かと目があったらハイタッチする。今ここには、国境だとか人種だとかくだらない壁なんかない。みんな楽しい。みんなうれしい。それだけだ。それでいいじゃないか!みんなレイジを見るため、はるばる遠いところからやってきた。そのために排出したCO2はすごい。すごいだろうがなにものにも代え難いこの夜。この人数のこのテンションで元気玉つくったら、フリーザ10回くらいぶっとばせるだろう。そんな想像するのも恐ろしいくらいのパワーを感じた。
終わりが見えない、観客の海 終わり間際、ザックが強い口調で訴えた。なにいってんのかよくわからんが、おそらくものすごいでっかいことを訴えた。帰国したらロッキンオンとかに日本語訳が書かれることを期待しながら、英語力強化を誓う。
終わった。
復活劇はちびろっく史に残る伝説となり、おかげさまでもういつ死んでも後悔はない。
4人がステージから消えても、まだ興奮さめやらぬ我々の頭上に、PVで見たとおり、確かに上空には警察、じゃなくてファッキンポリスのヘリが飛んでた。みんながShitと口々に言う。Shit。シット。くそ。何を監視してんだ。なんのために?誰のために?そんなことしてる暇と金があるなら、ロスの外れの貧乏地域、よりよくする努力でもしろ。武装して国民を脅かしてる危険分子はお前らじゃないか。
その日夜中の奇声ウェーブはいつまでも続いた。
もう大丈夫。
レイジは戻ってきた。
彼らが世の中を変えてくれるわけじゃない。
でも、変わるきっかけはできた気がする。
翌日、早朝にシャワーに行った。何も考えずに入って髪の毛を洗い出したとき、仕切りの下から隣のシャワーに入った女の、ものすごくでかい足が見えた。
あ、ちがう。
ここはわたしが入るべき場所ではなかった。
最終日にして、今更どうして
オトコシャワーに!!
ひととおり作業をすませたのち、オトコに出くわした時のための言い訳をものすっご考えて、耳を澄まして足音を聞き、タイミングを見計らって超ダッシュでゲラウトオブオトコシャワー!!運よく誰にも遭遇せず、窮地を脱した。
もうここには用はない。
翌日の朝、砂埃まみれになった車でロスに戻り、そのまま夕方のAir Lingusにてアイルランドはダブリンへ。びっくりするほど予想どおり、「あともう少し滞在延ばして、観光したかったな〜」という気持ちは全く起きなかった。あー、最高だったが二度と来たくないぜアメリカ!
国旗大好き、やかましい、メタボとかなまっちょろいんじゃないのがたくさんな米国人は、案外礼儀正しく、親切で、普通の人々だった。そりゃそうだな。みんながみんな、アメリカ最強!とか思ってるわけもないもんな。人間だもの。みつを。
それがわかっただけでも収穫!アメリカFarewell!グッバイ!